閉鎖病棟へ入院[4]夫視点…再入院

7.閉鎖病棟へ入院

パコさんは、起きたと同時に、また大きな声で泣き始めた。
それが昼前になってやっと落ち着いて、僕の用意した昼食を食べた。

「あの・・・心配かけて、ごめんなさい。もう大丈夫だから。
なんて言うか、私の頭の中がすごいグルグル高速回転してオーバーヒートしちゃった感じ。
もう回転速度は落ち着いたから大丈夫」と、パコさんは言った。
昨日よりは、ましな状態だが、大丈夫にはほど遠い。

パコさんの会社へ連絡をとって説明すると、上司の方に認知介護の経験があって
入院先を紹介してもらった。
午後は、昨日の病院へ診断書と紹介状を受け取りに行った。
道中、パコさんは助手席に座っていたが、「あっ、そうか」「あっ、わかった」とか
独り言を度々言う。
やはり、様子がおかしい。
まだ頭の中で何かが起こっているのだろう。

病院から戻ると、パコさんはまたいろいろと話を始めた。
内容は、ネットの影響力とか、実家の仕事の話とか、僕の若いころの話など多枝に渡った。
世間話の延長のようだったが、かなり強く自分の意見を一方的に主張しながら
パコさんは 5時間以上も話を続けた。
休むことなく延々と・・・。

明日は、入院する病院での診察とそのまま入院の手続きの予定だ。
先の事が決まって、その夜はやっと少し落ち着いて眠れた。

2度目の入院準備は簡単に済んだ。
病院に着いて、パコさんは大人しく診察を受け、自分で経緯を説明し始めたが
途中から泣き出してしまった。
上司はいろいろ心配して気にかけてくれていたのに、自分はその気持ちに答えられなかった…と。
・・・ まだまだ感情のコントロールが効かないようだ。

入院先は閉鎖病棟なので
エレベーターホールと病棟スペースの間のガラス戸は、常に施錠されている。
来た時には、インターホンを押して開錠してもらう。『面会』は親族のみだ。
・・・ 診断では、入院期間は3ヶ月だった。
この症例での標準的な期間ということらしい。

・・・3ヶ月は長い。
しかも、3ヶ月で帰ってこられる
保証はない。

とにかくネット情報を読みまくった。
精神疾患は、再発と入院の繰り返しだという。
まだまだ、先は長いのか・・・。

そしてまた、パコさんのいない生活が始まった。