閉鎖病棟へ入院[6]…なぜ「突発性難聴」に?

7.閉鎖病棟へ入院

『突発性難聴』になる数日前に、課長からの叱責がありました。
パートナー会社の若い担当者が一生懸命考えて提案した内容を
即ダメ出ししたのが無神経だと。
個室に呼ばれ、課長代理も同席して、数十分以上の長い叱責でした。

その案件は、同意見だったB先輩と私の二人で、担当者に対面対応したものでしたが
課長は年上のB先輩には何も言わず、私にだけ言うのです。
念のためですが、その提案が再検討されることはありませんでした。

叱責の内容は今回の問題だけでなく
パコさんは以前もこんな問題があったという話にもなりました。
昔の話は全く関係なく似た話でもありません。
今考えると、同席した課長代理に対して「自分の叱責は正しい」
という理由付けを追加したかったのだと思います。
課長はただ私を責めたいという気持ちだけのなのだと感じました。

今回の件だけなら、自分の配慮の無さを反省できたのですが
どうしても辛くなってしまい、人前でしたが泣いてしまいました。
「会社(課長)のやり方に従ってもらえないなら、他の仕事をしてもらう」
とも言われました。
実は私の他部署への移籍の話が出ているが、課長が断わったので
保留になっているという話。


課長と私は、同じ部署の女性として、20年以上の付き合いです。
お互いの家に行ったことも何度かあり、仲が悪いわけではありません。
ただ、私は仕事上のことは変だと思ったら言わないと気が済まないので
何度か衝突することがありました。

課長から度々強く注意されたのは
「上司の意見には、逆らってはいけない。あなたは反対意見を言える立場ではない」
ということでした。

それが数年前から、課長が私の上司になり、ストレスを感じるようになりました。
課長に、自分の後は私に引き継いで欲しいと言われたこともあります。
課長が厳しくするのは 『育てるべき後輩』 だからという部分もあるとは思います。
ただ、他の後輩には厳しく言わないのはなぜか?

同僚の何人かに言われました。
「課長は、私たちには強く言わないのに、パコさんへは厳しく言うよね」
「課長のあれは、パコさんへの いじめ じゃないの?」

あまりに長い付き合いで、課長にとって私は
常に自分の下にいる自分の手足のように思っているのではないか?
自分の一部であるから、自分ではある意味で大事にしていると思っている?
しかし、自分と同じように考えて行動するのが当然と思っていて
違う行動も反論も徹底的に許さない?

ここまで考えた時、これはDVによくある精神構造と似ている
と思ってぞっとしました。
私は、課長の元を離れたほうが良いのだろうと思いました。


私とモナカさんは、普通の仲良し夫婦です。
デートは手をつないで歩きます。
必要なことは、きちんと話し合いができます。

それが、ささいなことで口論になりました。
それを聞いていた息子のシシコは
「パパ ママ けんかしないで」と、初めて言いました。
我が家はめったにない緊張感に包まれてしまいました。

そして翌朝、目が覚めると
私の右耳はひどい耳鳴りがして聞こえなくなっていました。

会社で感じていたストレスの大波から、いつも私を守ってくれていたのは家族です。
モナカさんは、私の心の防波堤になって支えてくれていました。
けれどその夜、頑丈な防波堤に小さな穴が出来てしまった。
それが、『突発性難聴』という現れ方をしたのではないかと思っています。


※状況説明が、課長への批判になってしまいましたが
他の面では素晴らしい上司であり
今も尊敬する先輩であることは変わりありません。
また、この件がきっかけとなって、私を稀有な体験に導いてくれた恩人でもあり

心から感謝しています。